賃貸住宅のリフォームには主に2種類の目的があります。ひとつ目は、「メンテナンス的なリフォーム」で、建物や設備の劣化・故障への対応、退去時の室内クリーニングなど、不具合を正常にする復旧工事や修繕など維持管理に関するものです。

※詳細はバックナンバー「長期間にわたって入居者に支持される建物の維持管理方法とは？」をご覧ください。

そして、ふたつ目が「魅力を高めるリフォーム」です。入居者層やライフスタイルの変化に対応して部屋の間取りを一新したり、新しい設備や仕様を導入するなど、家賃下落や長期の空室リスク軽減を目指すものです。賃貸住宅経営は、20年、30年……と、長期にわたるもの。時代や暮らしの変化に物件が対応することができれば、末永く選ばれる賃貸住宅になるばかりでなく、差別化や付加価値によっては周辺の賃料相場より高く貸すことも十分可能です。

リフォームのタイミングは、入居者の退去時だけでなく、入居中のクレームやリクエストがあった際や、20年、30年のスパンでの計画的な内外装の大規模修繕など、さまざまなケースが考えられます。これらにスムーズに対応していくためには、賃貸住宅経営をスタートするときにある程度の見通しを立てておくことがポイント。リフォームにかかる費用も、メンテナンス費用などと一緒にあらかじめ計画しておくと安心です。

また、空室になってからリフォームをどうするか考えるよりも、入居している段階で「次に空室になったときにはこれをしよう」と計画するのがベター。定期的に物件の建築会社や管理会社から、入居者トレンドや最新の賃貸住宅についての情報を得ておくといいでしょう。

将来、リフォームする可能性を考慮して、賃貸住宅の建築前にしておきたいのが、建物の構造をしっかりと吟味することです。建物の構造次第で、部屋の間取りを変更する場合にも、可変性や自由度が高くなります。さらに、耐久性の高い部材を使用すればメンテナンスサイクルを長くすることができ、結果的に手間とコストを抑えることができます。

また、実際にリフォームを検討するときは、まず、構造をよく知っている建築した会社に相談するのがベター。建築した会社以外で、建物の構造に関わるような工事を行った場合、建築会社の保証の適用外となることもあるのでご注意を。