IoTとは「Internet of Things」の略で、インターネットを通じて家電などの「モノ」がつながったり、遠隔操作できる仕組みや技術のこと。賃貸住宅にIoTを導入すると、入居者は外出先からエアコンの操作やシャッターの開閉、風呂のお湯張りなどを設定でき、より便利で快適な暮らしが実現できるため人気が高くなっています。

またIoTは快適性だけでなく、防犯面の強化にも役立ちます。例えば、スマホを鍵にして玄関を開閉するスマートロックや、外出先でもスマホ画面で来客対応・確認ができるインターフォン、不審者を発見すると住民に警告音を鳴らし、警備会社に映像を送る防犯カメラなど、各メーカーがさまざまな商品を開発しています。

IoTは新築の戸建住宅や分譲マンションで導入が進んでいますが、賃貸住宅でもニーズは高く、IoTに対応した物件は増加傾向にあります。在宅時間が増えて住まいに快適性・利便性を求める人や、共働きで家事の負担を軽減したい世帯、女性や子供がいて高い安全性を求めるファミリー層など、IoTによる付加価値は周辺物件との差別化につながり、オーナーにも大きなメリットを生み出します。

さらに、IoTの活用は入居者・管理会社の双方にメリットがあります。例えばスマートロックなら、時限式の電子キーの操作で、入居希望者が不動産会社の立ち合いなしで気軽に部屋を見学できるため、より多くの人に内見の機会を提供することが可能に。管理会社もドアの開錠・施錠の記録を遠隔で確認し、より細やかな入退室の管理やコスト抑制が実現できます。

これから本格的な5G時代を迎えると、ネットの通信環境が格段によくなり、IoTはより進化・発展します。賃貸住宅経営においても、その波に乗り遅れないように準備しておきましょう。IoTでつながる「モノ」の中には、給湯器やシャッターなど建築時でないと導入しにくい設備もあるため、計画段階からしっかりと検討してください。

また、IoT機器は24時間インターネットに接続されているもの。機器の脆弱性を狙ったウイルスなども存在するので、セキュリティにはしっかりと気を配る必要があります。IoT環境の整備、入居者サービスの提供と併せて、セキュリティ対策や故障時のサポート体制が整ったパートナー企業と提携することが重要です。