社会全体の課題として挙げられる「コロナ禍の収束」は、足掛け4年という長期になり、日本経済や暮らしに想定を超える影響を与えています。昨年はさらにロシア・ウクライナ情勢も加わり、エネルギーから食料品まで世界の物価が上昇した年となりました。このインフレの流れは、2023年も中期的なトレンドとして続いていくでしょう。

海外では、物価の上昇とともに賃金や家賃が上がり、全体的に好景気となっている地域も。一方、日本では賃金や金利のアップはなく、海外と比較してみると物価高はまだ限定的であるといえます。マスコミなどで大きく取り上げられている円安は、日米の金利差が主な要因ですが、日銀の金融緩和策の修正によって、今後どうなっていくかを注視する必要があります。

日本の不動産売買市場は、貸ビルなどの空室による収益物件価格の下落圧力はありますが、まだまだ金余りによる国内外からの新たな不動産投資の活力は残っています。全体的には、住居系も含めて比較的安定した動きが続きそうです。

マンション・戸建て市場は、ファミリー層を中心に低金利に後押しされた住宅取得ブームもあり、販売価格が上昇しています。賃貸住宅などの貸家は、低金利や相続対策で数年にわたり着工が増えており、新築物件はこの先も増加していくでしょう。一方で職人不足や円安による建材の価格上昇などによって、建築・リフォーム工事費は値上げ傾向にあるため、綿密に市場調査を行い、長期的な収支計画を立てることが重要です。

賃貸住宅経営は、バブルやリーマンショック、コロナ禍など過去の大きな変動を見ても、影響を受けにくい安定した事業です。ですが、やはり昨年来のインフレや円安は入居者の動向や賃料・空室率、建築・リフォーム・メンテナンス費用などに大きく関係してきますので、常にアンテナを張っておくことが大切です。

また、内見の予約から見学までをスマホ１つで可能にするサービスや、環境に配慮しながら快適に暮らせる賃貸ZEHなど、時代のニーズに応えていくことも長期安定経営に必要なポイントです。しっかりとしたマーケティングやプランニング、維持管理体制を提供できるパートナー企業を選定していきましょう。