街中で多く見かける「電気自動車（EV）」は、購入意向層や所有台数が年々増加傾向です。国も「2050年カーボンニュートラル」を打ち出し、2030年までに新車は100％非ガソリン化することを目標としています。補助金制度の充実、公共施設の高速充電器設置などでEVの普及を後押ししており、一部の自治体でも同様の動きが見られます。

車種を見てみるとハイクラス車のほとんどがEV・PHV化されているため、購買層としても高所得の方が多いことが想定されます。この先、ガソリン代の高騰が長く続けば、EVを選択する人はさらに増えるでしょう。

EVについては、充電設備の場所や数などの懸念材料もあります。一方、例えば東京都では一定条件のもと、大手住宅メーカーといった「特定供給事業者」に対してEV充電設備などの設置義務化を進めています。今後、このような充電インフラ整備の動きが各自治体にも広がることは間違いないでしょう。

賃貸住宅においても、入居者のEVニーズ増加に伴って、充電設備の整備などの対応が必要になってきます。言い方を変えれば、EVを所有する、または購入を検討する入居者にとって、充電設備の設置は付加価値や差別化のポイントとなり得ます。

EV充電設備は賃貸ZEHと組み合わせることで、相乗効果も期待できます。太陽光パネルを備えた賃貸ZEH物件であれば、発電した電力を充電に利用することも可能に。また、環境意識が高くエシカルな暮らしを求める層に対しても、EVとZEHの組み合わせはアピールポイントとなるでしょう。

ただし、EV充電設備の計画時には、個別設置型かもしくはシェア型か、さらに充電に対する課金方法はどうするかなど、配線や運用方法についての検討も必要になります。充電設備の選定や電力会社との調整、補助金の申請など、設計施工から運用面までトータルでサポートしてくれる事業者に相談することが重要です。