Vol.139 人と建物の健康に欠かせない、通風や換気に優れた賃貸住宅とは

秋は企業の人事異動が多い時期といわれています。賃貸住宅への入居希望者も増えてきますので、しっかりと準備をしておきましょう。今回は、入居者からのニーズも高い部屋の通風や換気について解説します。

土地活用サクセスマガジン VOL.139
人と建物の健康に欠かせない、通風や換気に優れた賃貸住宅とは

土地活用サクセスマガジン VOL.139 人と建物の健康に欠かせない、通風や換気に優れた賃貸住宅とは

住宅の通風や換気は目には見えない部分ですが、快適で健康的な暮らしに不可欠なもの。賃貸住宅においても入居者の関心が高い項目です。その重要性や必要な設備などのポイントを、家づくりにくわしいガイドの佐川さんが紹介します。

今回教えてくれるのはこのガイド：All About「家を建てる」ガイド　佐川旭氏一級建築士、（株）佐川旭建築研究所　代表取締役。住宅だけでなく、公共建築や街づくりまで手がけ、間取り博士とよばれるベテラン建築家。著書多数。ベトナム、ラオスにこれまで18年間で330校超の学校を建設。

通風や換気を確保するために、24時間換気システムの義務化も

窓をはじめ開口部が充実している住宅は、通風や換気に優れ、常にフレッシュな空気を取りこめるので暮らしの快適性が高くなります。室内にこもった熱や湿気、ペットの匂いなどを逃がすことができ、部屋の温度・湿度を適正かつ快適な状態に保つことが可能です。

また、現在の高気密化した住宅では、換気性能が低いとほこりやダニ、化学物質によるシックハウス症候群などの健康トラブルの原因にもなり得ます。賃貸住宅においても、2003年の改正建築基準法により、室内外の空気を入れ替える「24時間換気システム」を導入することが義務づけられています。

通風や換気がしやすい家はシックハウス症候群などを防ぎ、健康的で心地いい暮らしが望めます。

優れた換気性能は、カビや結露を抑えて建物の寿命を延ばす

24時間換気システムの導入を含め、賃貸住宅において優れた換気性能は、目には見えないながらもニーズの高い項目といえるでしょう。入居者からすると、在宅時はいつも空気が爽やかで、帰宅時にも淀んだ空気が感じられないのはうれしいポイント。また、空気が常に入れ替わることで、結露やカビの発生を抑制することにもつながります。

高温多湿の日本において、高気密の建物は空気や湿気がこもりやすい構造になっています。オーナーの側から見ても、換気によってカビや結露を減らすことで建物の劣化が抑えられるため、メンテナンス費用の抑制や、建物寿命が長くなるなど、さまざまなメリットがあるでしょう。

高い換気性能でカビや結露の発生を抑えれば、人と建物両方の健康を守ることにつながります。

賃貸住宅の通風と換気は、間取りのプランニングでも実現できる

強制的に換気させる24時間換気システム以外にも、間取りのプランニングによって賃貸住宅の通風性能を向上させることができます。例えば室内の2方向、できれば長い対角線上に開口部を設けて、風の出入り口をつくります。大きな窓が設置しにくい間取りなら、高窓や地窓など高低差を用いた通風を計画しましょう。

また、室内だけではなく、壁の中や床下の通気も重要なポイント。外壁と断熱材の間に通気層をつくる工法や、基礎と土台の間に空間をつくって通風を確保する工法もあります。通風や換気は建物の維持管理や長寿命化には必要不可欠なもの。優れた技術力や設計力を持つパートナー企業を選ぶことが大切です。

目には見えない部分だからこそ、しっかりと検討しておくことが重要です。

通風や換気をよくすることは、住む人の健康や快適性、建物の寿命の両方に影響があります。換気設備や通風が取りやすい間取りのプランニングなど、さまざまな工夫で建物の劣化を防ぎ、入居者に心地いい暮らしを提供することが大切です。入居者の満足度向上やメンテナンスコスト抑制など、オーナーにとってもいくつものメリットをもたらしてくれるでしょう。

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