Vol.140 ハイグレードな賃貸住宅ならではの価値を、住宅のプロが解説！

街でハロウィンの飾りをたくさん見かけるようになると、秋の深まりを感じます。今回は、ハイグレードな賃貸住宅の実例を見ながら、その付加価値がもたらすメリットなどを解説します。

土地活用サクセスマガジン VOL.140
ハイグレードな賃貸住宅ならではの価値を、住宅のプロが解説！

土地活用サクセスマガジン VOL.140 ハイグレードな賃貸住宅ならではの価値を、住宅のプロが解説！

優れた部材を使用し、デザインや設計・建築などのグレードが高い賃貸住宅は、その周辺環境にもいい影響をもたらします。入居者が誇りを感じ、質の高い住民が集まるという効果も。不動産に詳しい田中さんに、3つのハイグレードな実例について解説していただきましょう。

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今回教えてくれるのはこのガイド：All About「ハウスメーカー選び」ガイド田中直輝氏約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てはもちろん、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

閑静な住宅街に、美しく重厚感のある邸宅風の外観が調和

1軒目は、富裕層が多く住まう閑静なエリアに建つ賃貸住宅です。建築地の周辺にも入居者にとっても「よい環境」を創るため、外観は街に調和し、四季折々の豊かな緑を配した邸宅風のデザインに。共用部は、大開口サッシと中庭から地続きのピットラウンジにより、空間の広がりを演出しています。

黒を基調に、温かみのあるアクセントタイルで重厚感のあるデザインの外観。

中庭を望むことができ、空間の広がりと上質さが感じられるエントランス。

「ハウスメーカー選び」ガイド・田中さんのチェックポイント

個性的でありながら街になじみ、一段と質の高さを感じさせる

あらゆる建物は、そのデザインや配置の仕方次第では周囲に圧迫感を与えたり、景観から浮いてしまうことがあります。この賃貸住宅の外観は、黒を基調とした外壁とアースカラーのアクセントタイルで構成されていますが、街ゆく人の目を引きながらも、周辺の景観になじむよう配慮されているのが特徴的です。
共用部は玄関ホールから共用のピットラウンジ、中庭の緑という視線の奥行きがあり、入居者はもちろん来訪者にもこの建物を印象づけて、癒しの時間を提供するでしょう。近年「ホテルライク」を謳う賃貸住宅が増えていますが、一段と質の高さを感じさせるしつらえとなっています。

充実した設備と、格調高いアート作品の展示などで差別化

2軒目は、国際空港に近いなど利便性がよく、大学の新規開校もあって賃貸需要が伸びているエリアの賃貸住宅です。家賃補助のある企業や空港の関係者など、所得の高い層がターゲットで、ホールやエントランスには高級感あるアート作品を展示。ペット可の賃貸住宅とし、入居者専用の足洗い場やコインランドリーなど、賃貸住宅にはあまりない設備も備えて、付加価値を高めています。

アートか飾られた、入居者専用の休憩コーナー兼テレワークスペース。

陽の光をうまく取り込む中庭に面したEVホールにも、アートを展示して高級感を演出。

「ハウスメーカー選び」ガイド・田中さんのチェックポイント

広い敷地に充実した設備を配し、共用部はアート作品などで入居者にアピール

敷地内における建物の配置は、設計時の重要なポイントです。敷地が広大な場合、通常のプランニングだと複数棟の建物を建てることで、結果的に特徴や魅力が少なくなるケースも存在します。一方この物件では、38住戸を1棟に集約し、その周囲に駐車場や、入居者向けの屋外テラス空間、ドッグランなど充実した設備を配置しています。
写真にある共用部の特徴としては、賃貸住宅には多くない内廊下スタイルになっていること。各所に配置されたアート作品の効果も相まって、ステータスの高さを印象づけています。

歴史ある地域になじむ、和モダンでまとめた品格ある賃貸住宅

最後は、周辺に美術館があり、歴史ある落ち着いた街並みに建つ賃貸住宅です。外観や共用部のコンセプトは「和モダン」。建物を正面から見ると、街の雰囲気に調和しながら、存在感のあるしつらえになっています。共用ラウンジは、外部からの視線を遮りながら中庭が眺められる地窓を設け、2層の吹抜けがあるラウンジ上部は、格子壁をライトアップさせて和の雰囲気を演出しています。

品格のある立地にふさわしく、「和の心」を大切にした上質な外観。

まるで一流の旅館で過ごしているような、癒しと趣を感じさせる共有ラウンジ。

「ハウスメーカー選び」ガイド・田中さんのチェックポイント

個性あふれる建築で、充実した暮らしを望む入居者にアピール

優れた内外観の素材と、外構の提案力を組み合わせると、オリジナリティあふれる賃貸住宅が建築できることをこの建物はよく表しています。和モダンの高級旅館を思わせるコンセプトは賃貸住宅ではあまり多くなく、長期にわたって競争力を長く保てるはずです。
共用部は、吹き抜けにして圧迫感を感じさせないよう配慮。アースカラーの壁やアクセントタイル、障子、地窓により落ち着きのある空間演出が施されています。ターゲットのライフスタイルを捉えた専有部とともに、充実した生活を望む富裕層への抜群のアピールポイントとなるでしょう。

「ハウスメーカー選び」ガイド・田中さんの最後に一言

競争力の高いハイグレードな賃貸住宅は、優れた事業者に依頼を

強みとなる特徴やコンセプトを持ち、付加価値が充実したハイグレードな賃貸住宅は、市場にはまだまだ少ないのが現状です。これらが実現できれば、そのエリアにおいて長く競争力を保つことができるでしょう。ただし、すべての建築会社がレベルの高い賃貸住宅を実現できる提案力・技術力をもっているわけではありません。依頼する際は総合的かつ独創的なデザイン・経営提案ができるのかどうか、しっかりと検討することをお勧めします。

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